Hodgkin-Huxley Model
A. L. Hodgkin、A. F. HuxleyA quantitative description of membrane current and its application to conduction and excitation in nerve
イカの巨大軸索のNa+チャネル、K+チャネルの開閉を電位固定法により実験的に測定し、その非線形な動態を微分方程式を含む数式(Hodgkin-Huxley方程式)で表わしたモデル
比較的少ない数のパラメータで神経軸索の活動電位の発生と伝播、チャネルの開閉特性を良く表すことができる
HodgkinとHuxleyは、電気生理学の基礎を築いた功績により、同じく電気生理学者のJohn Carew Ecclesと3人で、1963年のノーベル医学・生理学賞を受賞している
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Hodgkin-Huxley方程式 - 脳科学辞典
Hodgkin-Huxleyモデル — Juliaで学ぶ計算論的神経科学
等価回路
https://gyazo.com/9ef206603610ca94392607272fa0b40b3) illustrates the components of the Hodgkin-Huxley model. The... | Download Scientific Diagram
ニューロンの細胞膜をコンデンサ、イオンチャネルを可変抵抗(リークチャネルは固定抵抗)と考える
これは妥当なのか?yosider.icon
電源の向きは平衡電位の符号を表す
習慣的に、細胞外から細胞内への向きを正とする
細胞膜の静電容量(キャパシタンス) $ C
膜電位$ v
イオンチャネル$ i
ナトリウムチャネル$ \mathrm{Na}
カリウムチャネル$ \mathrm{K}
リークチャネル$ \mathrm{L}
膜電位の変化に対してオームの法則に従うコンダクタンスをもつチャネルとして想定する
イカの巨大軸索では主に塩化物イオンを通し、静止電位を保持するのに主要な役割を果たす
コンダクタンス$ g_i
電位依存的なゲートにより開閉される
$ g = g^\mathrm{max}_i m^{a_i} h^{b_i}
最大コンダクタンス$ g^\mathrm{max}
活性化ゲート
静止時に閉じており、脱分極時に開く
開いている割合$ m_i
個数$ a_i
電流の立ち上がりの形をよく再現するようにチューニングされた?
不活性化ゲート
脱分極時に閉じており、静止時に開く
開いている割合$ h_i
個数$ b_i
膜電流$ I_i
コンダクタンスと電位差の積に比例する(Ohmの法則)
$ I_i = g_i (v - E_i)
平衡電位$ E_i
総和を$ I_\mathrm{ion} = \sum_i{I_i}と書く
ナトリウム電流、カリウム電流、leak current
外部からの入力電流$ I_\mathrm{m}
Hodgkin-Huxley方程式
$ C \dot v+ I_\mathrm{ion} = I_\mathrm{m}
$ C \dot v+ \sum_{i} g_i (v - E_i) = I_\mathrm{m}
導出
Kirchhoffの第1法則より、$ I_\mathrm{m} = I_\mathrm{ion} + I_\mathrm{c}
$ I_\mathrm{c}: 細胞外から細胞内の向きにコンデンサを流れる電流
コンデンサに蓄えられている電荷を$ Qとすると、$ I_\mathrm{c} = \dot Q = C \dot v
$ I_\mathrm{m} = I_\mathrm{ion} + I_\mathrm{c}に代入して得られる
定数の例Hodgkin-Huxleyモデル — Juliaで学ぶ計算論的神経科学
$ C=1.0
table:table
活性化ゲート数a 不活性化ゲート数b 最大コンダクタンス 平衡電位E
Na 3 1 120 50.0
K 4 0 36 -77
L 0 0 0.3 -54.387
習慣的に、Naの活性化ゲートを$ m、不活性化ゲートを$ h、Kの活性化ゲートを$ nと書く
$ g_\mathrm{Na} = g^\mathrm{max}_\mathrm{Na} m^3 h
$ g_\mathrm{K} = g^\mathrm{max}_\mathrm{K} n^4
$ g_\mathrm{L} = g^\mathrm{max}_\mathrm{L}
ゲート変数のダイナミクス
two-state modelに従うと仮定されている
OpenとClosedの2つの状態がある
Openの状態にある確率を$ p(t)、Closedの状態にある確率を$ 1-p(t)とする
単位時間あたり、Open→Closedに遷移する割合を$ \alpha、Closed→Openに遷移する割合を$ \betaとする
$ p(t)の時間変化は$ \frac{d p(t)}{d t}=\alpha(1-p(t))-\beta p(t) = \alpha - (\alpha + \beta) p(t)
これを解くと$ p(t)=\left(p(0)-\frac{\alpha}{\alpha+\beta}\right) e^{-(\alpha+\beta) t}+\frac{\alpha}{\alpha+\beta}
時定数$ \tau = \frac{1}{\alpha + \beta}で指数関数的に$ p_\infty = \frac{\alpha}{\alpha+\beta}に収束する
Hodgkin-Huxley Model#628a6cdbe5172d00005914f6は$ \tau \dot p = p_\infty - pと書き直せる
Hodgkin-Huxleyモデルでは、速度定数は電位に依存する
開く速度定数$ α(v)
閉じる速度定数$ β(v)
電位は時間依存なのでもはや速度定数は定数ではない?yosider.icon
一連のイカ巨大軸索を用いた速度定数の実験値を便宜的に次の数式で表した
$ \alpha_{m_\mathrm{Na}}(v)=\frac{0.1(-v+25)}{\exp \left(\frac{-v+25}{10}\right)-1}
$ \beta_{m_\mathrm{Na}}(v)=4 \exp \left(\frac{-v}{18}\right)
$ \alpha_{h_\mathrm{Na}}(v)=0.07 \exp \left(\frac{-v}{20}\right)
$ \beta_{h_\mathrm{Na}}(v)=\frac{1}{\exp \left(\frac{-v+30}{10}\right)+1}
$ \alpha_{m_\mathrm{K}}(v)=\frac{0.01(-v+10)}{\exp \left(\frac{-v+10}{10}\right)-1}
$ \beta_{m_\mathrm{K}}(v)=0.125 \exp \left(\frac{-v}{80}\right)
$ vは膜電位ではなく静止電位を基準としたもの
6.3℃での値
温度係数$ Q_{10} = 3で補正する
批判
チャネルタンパクの動きを反映すると考えられるゲート電流の電位依存性は、電流の電位依存性よりも過分極側にずれており、チャネルが最終的に開く過程は電位依存的ではないと推測された。
Single-channel recordingにより、Na+チャネルの開口時間は、Hodgkin-Huxleyモデルで予測されるよりも短く、脱分極から遅れてチャネルが開く場合が観察された。
Hodgkin-Huxleyモデルよりもより複雑な過程を示すことの出来るMarkov過程モデルの方が、より詳細なチャネルの性質や、変異による性質の変化を表すことが出来た。
ただし計算量は増加
Implementation of Hodgkin–Huxley model using Rust - suzuzusu日記