Hodgkin-Huxley Model
イカの巨大軸索のNa+チャネル、K+チャネルの開閉を電位固定法により実験的に測定し、その非線形な動態を微分方程式を含む数式(Hodgkin-Huxley方程式)で表わしたモデル 比較的少ない数のパラメータで神経軸索の活動電位の発生と伝播、チャネルの開閉特性を良く表すことができる
from
ニューロンの細胞膜をコンデンサ、イオンチャネルを可変抵抗(リークチャネルは固定抵抗)と考える
これは妥当なのか?yosider.icon
電源の向きは平衡電位の符号を表す
習慣的に、細胞外から細胞内への向きを正とする
膜電位の変化に対してオームの法則に従うコンダクタンスをもつチャネルとして想定する
$ g = g^\mathrm{max}_i m^{a_i} h^{b_i}
静止時に閉じており、脱分極時に開く
開いている割合$ m_i
個数$ a_i
電流の立ち上がりの形をよく再現するようにチューニングされた?
脱分極時に閉じており、静止時に開く
開いている割合$ h_i
個数$ b_i
$ I_i = g_i (v - E_i)
総和を$ I_\mathrm{ion} = \sum_i{I_i}と書く
外部からの入力電流$ I_\mathrm{m}
$ C \dot v+ I_\mathrm{ion} = I_\mathrm{m}
$ C \dot v+ \sum_{i} g_i (v - E_i) = I_\mathrm{m}
導出
$ I_\mathrm{c}: 細胞外から細胞内の向きにコンデンサを流れる電流
コンデンサに蓄えられている電荷を$ Qとすると、$ I_\mathrm{c} = \dot Q = C \dot v
$ I_\mathrm{m} = I_\mathrm{ion} + I_\mathrm{c}に代入して得られる
$ C=1.0
table:table
活性化ゲート数a 不活性化ゲート数b 最大コンダクタンス 平衡電位E
Na 3 1 120 50.0
K 4 0 36 -77
L 0 0 0.3 -54.387
習慣的に、Naの活性化ゲートを$ m、不活性化ゲートを$ h、Kの活性化ゲートを$ nと書く
$ g_\mathrm{Na} = g^\mathrm{max}_\mathrm{Na} m^3 h
$ g_\mathrm{K} = g^\mathrm{max}_\mathrm{K} n^4
$ g_\mathrm{L} = g^\mathrm{max}_\mathrm{L}
ゲート変数のダイナミクス
OpenとClosedの2つの状態がある
Openの状態にある確率を$ p(t)、Closedの状態にある確率を$ 1-p(t)とする
単位時間あたり、Open→Closedに遷移する割合を$ \alpha、Closed→Openに遷移する割合を$ \betaとする
$ p(t)の時間変化は$ \frac{d p(t)}{d t}=\alpha(1-p(t))-\beta p(t) = \alpha - (\alpha + \beta) p(t)
これを解くと$ p(t)=\left(p(0)-\frac{\alpha}{\alpha+\beta}\right) e^{-(\alpha+\beta) t}+\frac{\alpha}{\alpha+\beta}
時定数$ \tau = \frac{1}{\alpha + \beta}で指数関数的に$ p_\infty = \frac{\alpha}{\alpha+\beta}に収束する
Hodgkin-Huxleyモデルでは、速度定数は電位に依存する 開く速度定数$ α(v)
閉じる速度定数$ β(v)
電位は時間依存なのでもはや速度定数は定数ではない?yosider.icon
一連のイカ巨大軸索を用いた速度定数の実験値を便宜的に次の数式で表した
$ \alpha_{m_\mathrm{Na}}(v)=\frac{0.1(-v+25)}{\exp \left(\frac{-v+25}{10}\right)-1}
$ \beta_{m_\mathrm{Na}}(v)=4 \exp \left(\frac{-v}{18}\right)
$ \alpha_{h_\mathrm{Na}}(v)=0.07 \exp \left(\frac{-v}{20}\right)
$ \beta_{h_\mathrm{Na}}(v)=\frac{1}{\exp \left(\frac{-v+30}{10}\right)+1}
$ \alpha_{m_\mathrm{K}}(v)=\frac{0.01(-v+10)}{\exp \left(\frac{-v+10}{10}\right)-1}
$ \beta_{m_\mathrm{K}}(v)=0.125 \exp \left(\frac{-v}{80}\right)
$ vは膜電位ではなく静止電位を基準としたもの
6.3℃での値
批判
チャネルタンパクの動きを反映すると考えられるゲート電流の電位依存性は、電流の電位依存性よりも過分極側にずれており、チャネルが最終的に開く過程は電位依存的ではないと推測された。 Single-channel recordingにより、Na+チャネルの開口時間は、Hodgkin-Huxleyモデルで予測されるよりも短く、脱分極から遅れてチャネルが開く場合が観察された。
Hodgkin-Huxleyモデルよりもより複雑な過程を示すことの出来るMarkov過程モデルの方が、より詳細なチャネルの性質や、変異による性質の変化を表すことが出来た。
ただし計算量は増加